不況下の緊縮財政がもたらす危険を警告

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最も大事なことは、経済危機を引き起こさないこと

   本書では、ギリシャとアイスランドの対照的な結果をはじめ、大恐慌以来の様々な事例が具体的なデータにより説明され、財政・金融危機の際に採られる経済政策の影響、とりわけ、緊縮財政の危険性と適切な「社会保護」政策の必要性が繰り返し語られている。

   確かに不況期には、経済活動が停滞し、税収が減るとともに、経済危機の原因ともなった財政赤字を是正するため、緊縮財政を志向するのも自然な流れだが、国民生活の観点からすれば、不況時こそ、失業が増え、所得が減り、生活に困窮する者が増えるわけで、平時以上に政府の果たす役割が求められる。実際、今回のリーマンショックに際し、ギリシャに対し巨額の歳出削減を求めたドイツでも、自国内では、2009年に500億ユーロもの財政出動を行ったという。

   経済危機に瀕した際の対応は難しい。国としての信用を守るため、債務(借金)を返さなければならないことは当然だが、国民の健康や生命を守ることは経済活動以上に重要な国家の使命である。

「どの社会でも、最も大事な資源はその構成員、つまり人間である。したがって健康への投資は、好況時においては賢い選択であり、不況時には緊急かつ不可欠な選択となる」

   万一の時に備え、平時から、経済危機時の対応については、よくよく考えておく必要がある。しかし、何よりも大切なことは、国民の生活に大混乱を来たすような経済危機を引き起こさないことだ。それが最善の予防策である。

厚生労働省(課長級)JOJO

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