ビッグデータ活用に必要、人材やインフラ、新システム
続いて本書は、コグニティブコンピュータの実現のために必要なビッグデータの管理・分析のために必要とする新たなアプローチについて紹介している。
ここ1~2年で急激に期待が高まっているビッグデータの活用であるが、何をどう活用すればよいのか分からないという声も聞かれる。データを活用するには、そのための人材やインフラが必要になるだろう。本書の筆者は、このうちインフラ部分であるコンピュータに必要なことを下記の4つにまとめている。
すなわち、IoT(モノのインターネット)によって生じるビッグデータについてコンピュータがそれを十分に活用するためには、①ボリューム、②多様性、③スピード、④正確さ――の点でコンピュータにも新たなシステムが必要であると述べている。本書は、ビッグデータの特長を十分に活かすためには、上記4つの機能を活用し、リアルタイムで獲得した多様な情報を臨機応変かつ柔軟に分析し、正しい確率の高い解を導き出すことが求められており、その先に人類の進歩のために共有・利用可能な集合知が築かれ、それこそがビッグデータの約束する最終的な到達地点であると述べている。そのためにも、上記の新たなシステムを実現すべく、今こそ産学官による基礎科学研究やリスクの高い長期プロジェクトへのコミットメントを復活させるべきであるというのである。