市場原理で動く米国の医療―やっと実現したものの失望続きの皆保険―

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蓋を開けると穴だらけ―こんなはずではなかったと支援者も不満―

   しかし、事はそう単純には進まなかった。

   共和党寄りの26州が訴えた「全国民の保険加入義務化は違憲」との訴訟は、何とか最高裁で「合憲」との判断を勝ち取ったものの、昨年、制度が実施されて以降、トラブルが続いている。

   日本でも報道されたが、多くの国民が保険申請に殺到し、オンラインシステムの不具合でサーバーがダウン。共和党から容赦ない非難を浴びた。こうした実施直後のつまずきは、よくあることだが、本書によれば、むしろ、この法案に期待し、応援してきた人々から大きな失望を買っていることが問題のようだ。

「今よりもずっと安くて充実した保険に入れる」
「保険会社の法外な請求にも上限が設定されるから、自己破産に怯えなくてよくなる」
「過去の病気を理由に保険加入を拒否されたり、解約されることもなくなる」

など、オバマケアへの期待は大きかった。

   しかし、現実には――

①無保険者の加入等により給付費が拡大し、保険料が大幅にアップするケースが相次いでいる
②正規社員50人以上の企業に義務付けられた従業員への保険提供を嫌って、社員の非正規化やリストラが横行している
③企業から保険が提供されない者が加入するオバマケア保険は、医師等に支払われる診療報酬が低いために、これを取り扱わない医療機関が続出している(保険に入っても事実上、医療が受けられない)
④既往歴がある者の加入は認めても、高額な医薬品を保険対象薬のリストから外すなど、事実上の給付制限を行っている

――など、米国民の期待を裏切る事象が多発しており、オバマケアに対する失望につながっている。

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