冷戦後の文明間の対立を予言 西欧文明が孕む危険性の発露

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国際貿易は紛争を防止できない?

   第二に、一次大戦前の国際貿易は活発であったのに大戦を防げなかった、との理由で、経済交流の紛争防止機能を否定する点も疑問だ。一次大戦前の国際貿易の総量は、西欧の宗主国と植民地化された他文明諸国との「貿易」をも包含するからである。著者が引用するように1913年の国際貿易が空前の規模だったのであれば、それは宗主国が植民地から収奪する量が空前のものであったことをも示唆する。

   経済交流が紛争防止機能を有するという仮説は、対等な国家間において国際私法上の公正なルールに基づいた交流が有する相互便益の存在を前提とするはずだ。宗主国と植民地の交易はそうした前提を欠くのみならず、収奪する権益を巡る衝突は寧ろ不可避となろう。

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