冷戦後の文明間の対立を予言 西欧文明が孕む危険性の発露

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粗雑な論証

   文明の相違は、国際関係において考慮するべき一要素ではあろう。言語・宗教・慣習の相違が相互理解のハードルとなるのは当然だ。

   だがその相違が紛争原因の大部分とまで言えるか。国際紛争が著者の言う「フォルト・ライン」つまり文明の境界で頻発するのが事実としても、それは歴史の大きな流れの中で、世界経済が徐々に一体化していく壮大な調整の軋みが主因ではなかろうか。だが著者は、衝突原因を文明の相違に求めながら文明の内面を掘り下げず、経済的側面も軽視する。故に提示される数多の論証は粗雑との印象を拭えない。

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