心温まるファンタジー絵本
『ふたりのねこ』(1296円、祥伝社)は、画家ヒグチユウコさんの、ネコを主人公にしたハートウオーミングな絵本だ。
公園で野良ネコに声をかけられ、拾われた「ぼく」。ぼくが何者なのか直接の説明はないけれど、「ぼくはぼっちゃんにかわいがられていた、ねるときは毎晩同じおふとんだった、かなしいときは、ぼくにかおをうずめてなみだをふいていたこと」などが語られて、ぼくが「ネコのぬいぐるみ」であることがわかってくる。ぼっちゃん探しをする本物のネコとぬいぐるみのネコ、いつしか心が通い合う。それが親子愛なのか姉弟愛なのか......「ふたり」は家族になっていた。
筆者の息子さんが大事にしているネコのぬいぐるみ「ニャンコ」と、公園に住む野良ネコをモデルに、出あいと別れを描いた、切なくも心温まるファンタジーである。
オリジナルバッグ付きの絵本として2014年3月に発売され、直後から大反響を得ていたものが、描き下ろしのカバーで12月に再登場した。