ネコが導くサクセスストーリー
『猫なんかよんでもこない。』(著・杉作、972円、実業之日本社)はひと言で表現するなら、冴えない男がひょんなことからネコを飼い始めた、その日常を描いた漫画だ。日常に潜む小さなドラマの積み重ねを淡々とていねいに表現した独特の世界観がある。
ある日、同居していた兄がネコを2匹拾ってきた。「クロ」と「チン子」と名づけ、成り行きで世話係になった主人公。兄は故郷へ帰っていったので、アパートの一室で男ひとりとネコ2匹の貧乏暮らしが始まる。プロボクサーとして世界を目ざすも挫折。アルバイトをしながら今度は漫画を描き始めるが、ボクシングを題材にした話は評価を得られない......。
ところが、身近にいるネコを漫画にしたところ、賞をとり、連載がはじまり、書籍になって版を重ね、2016年に映画化されることが決定した。作者の貧乏時代の心のよりどころ、支えになったのがネコたち。猫力?で「成功」を収めたことは間違いない。