経済書としては異例の13万部――フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』(みすず書房、訳・山形浩生ら)が、日本でも売行きを伸ばしている。とはいえ、本文だけで600ページもある分厚い本だけに、読み始めたものの挫折した人や、購入するのをためらっている人も少なくなさそうだ。そんな中、「たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!」と、図表に注目した解説書が登場した。
『図解ピケティ入門』(あさ出版)。2015年2月20日、発売。1300円(税別)。著者は、経済学者の高橋洋一・嘉悦大学ビジネス創造学部教授。元財務官僚で、内閣参事官も務めた。
同書は第1章で、『21世紀の資本』に登場する図表のうち、「本当に重要」なもの21枚を著者がピックアップし、視覚に訴えながら解説を加えている。これらの図は、ピケティ氏が集積した、20か国、300年分のデータのいわばエッセンスだ。そこから現れた「格差拡大」の実相とは果たして・・・。
また、第2章では「結局のところ、ピケティは何を言いたいのか?」について、14ページという短い分量で、分かり易く噛み砕いて説明している。ピケティ氏の「日本語未訳論文」要約を載せた第3章も、理解の助けになりそうだ。
同書は160ページ。『21世紀の資本』本文の4分の1程度だ。著者は最後に、「個人個人が正しい知識をもって、社会について考えていくこと」の重要性を指摘し、「こうした主体性こそが、この格差社会を変えていく原動力となるのである」と結んでいる。