【次の百年に踏み出した宝塚歌劇(4)】「芸能界」との融合進むなかで際立つ変えるものと変えないもの

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"外界"との仲人らによる触媒効果

   一方、劇団スタッフの中からも外の世界との橋渡しをする人が現れている。たとえば14年に紫綬褒章を受章した歌劇団の演出家、小池修一郎氏は、ミュージカルの演出家として外部でも引っ張りだこの存在だ。東宝ミュージカルの「エリザベート」「モーツァルト!」などを手がけているほか、昨年はSMAPの香取慎吾さんが主演した「オーシャンズ11」の脚本・演出を担当した。この作品はもともと同名のヒット映画を宝塚が初めて舞台化し、11年(宝塚大劇場)と12年(東京宝塚劇場)に星組が柚希礼音(ゆずき・れおん)主演で、13年には花組が蘭寿とむ主演で上演して人気を博した作品だ。香取バージョンは、制作も宝塚歌劇団。宝塚版とほぼ同じ脚本と音楽を用いての公演だった。宝塚の作品がそのまま外でも成立することはちょっとした驚きだった。

   15年5月に退団予定の星組の柚希は14年秋に、現役生徒としては真矢みき以来16年ぶりに武道館でライブを行い、2日間(3公演)で2万5500人を動員した。この公演の総合プロデュースはTRFのSAMさんが担当。前例がほとんどないといえる生徒単独の公演は、歌劇団の小林公一理事長が歌劇団の機関誌「歌劇」のなかで「普段の大劇場とは違う雰囲気」あるいは「映像を駆使した武道館ならではのスケールをいかしたコンサート」と述べるなど、「宝塚」がカバーするフィールドは確実に広がっており、外の世界との間にある垣根が低くなっていることを印象づけたものだ

   ただし、垣根を一段と低くするチャレンジをしたその柚希が14年8月の退団発表の記者会見で語った言葉には耳を傾ける必要があるだろう。

「現代的な要素もありつつ、伝統としての男役はずっと続けていかないと宝塚というものがなくなってしまうので、そこは繋いでいってほしい」

   変えるべきものと変えてはいけないもの―このあたりのバランスと舵取りがこれからの重要な課題となる。

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