人生に役立つ濃密な時間!
ベストセラー『声に出して読みたい日本語』やTBS系の朝の情報番組「あさチャン」の司会でおなじみの齋藤孝氏と、日本初の「塾ソムリエ」、受験のプロの西村則康氏が、教育について語り合ったのが『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』(842円、祥伝社)だ。
「受験戦争」とか「受験地獄」という言葉と結びつけて、子どもに勉強を強いることへ罪悪感を持つ親や教師が多いけれど「その心配は無用」だと斎藤氏は語る。「受験勉強ほど効率よく、さまざまな力を身につけられる訓練は他になく、人生に役立つ濃密な時間がそこある」というのだ。
たとえば、国語のテストによく登場する「てにをは」を、きちんと理解することは次のステップにつながる。「15を3で割る」と「15で3を割る」を間違えたら、全く違う答えになってしまう。これが理解できなければ、数学の問題は解けない。学校を卒業して、仕事を進めるうえでも、「誰が誰に何をした」という、「てにをは」を使った関係性の理解は重要だ...といったことを、わかりやすく説明している。
福澤諭吉の『学問のすすめ』の有名な「天は人の上に人を造らず...」は前文にすぎず、その少しあとに出てくる「されば賢人と愚人の別は、学ぶと学ばざるとによりて出来るものなり」のほうが、実は重要だ。責任の重い仕事は学んだ人間でないとできないから学問をせよということであって、学ぶことは苦しいものではなく、喜び、権利であるという。