最初は、美しくも青くもなかった、ワルツ王の名曲

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

20世紀には「オーストリアの魂」に

   ただ、こればかりは真実です。もともと戦争が苦手だった、ハプスブルグ帝国、後のオーストリアで、プロイセンに負けたことがきっかけで誕生したこの曲ですが、1939年、ウィーンフィルの、後に「ニューイヤーコンサート」となる(当時は大晦日に開かれていたそうです)「特別演奏会」で演奏され、人々に勇気を与えたのです。

   実は、その前年に、オーストリアは、ナチス・ドイツに併合されて国が無くなっていました。ナチスがメンデルスゾーンなど、ユダヤ系作者の芸術作品を禁止したのは有名です。しかし、ルーツがユダヤ人であるシュトラウス一族の曲の演奏を、オーストリアで禁止することはできませんでした。20世紀には、この曲は、すでに「オーストリアの魂」となっていたからです。

   その後、戦争真っ最中の1941年に元日に開催日が変更されたニューイヤーコンサートで、現在に至るまで、「美しく青きドナウ」は変わることなく、演奏され続けています。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト