将軍の戦勝はハプスブルグ帝国の最後の輝き
フランス革命後にあらわれたフランスの英雄、ナポレオンに蹂躙されたり、北方プロイセンに戦争を仕掛けられたり、とこの時代のハプスブルグ家は、戦争では負けっぱなしの状況が続いていました。その中で、唯一、当時まだオーストリア(ハプスブルグ)領であった、北イタリアの独立運動を、抑え込んだ将軍が、ラデツキー将軍でした。その将軍の戦勝をたたえて、新兵募集の歌詞をつけて、ラデツキー行進曲は、ハプスブルグ帝国の最後の輝き、といわんばかりに、人気曲となりました。
息子シュトラウス2世の人気ワルツやポルカに囲まれて、シュトラウス1世のラデツキー行進曲は、あたかもハプスブルグ帝国最後の残照、のように、ウィーンフィルのニューイヤーレパートリーとして、今年も輝いています。
余談ですが、ウィーンの名物、「ウィンナーシュニッツェル」というカツレツ料理は、ラデツキー将軍がこのとき、ミラノから持って帰った「カツレツ・ミラネーゼ」がもとになっているといわれています。
本田聖嗣