ウィーンフィルニューイヤーコンサートの定番曲と親子の確執

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   年末を代表するクラシック曲がベートーヴェンの「第九」だとすると、新年を象徴する音楽は、名門ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで演奏されるシュトラウスファミリーのワルツやポルカ、ということになるでしょうか。今日取り上げるのは、いつも、コンサートの最後に演奏され、観客も手拍子で参加する人気曲、「ラデツキー行進曲」です。

  • ラデツキー行進曲・ピアノ連弾の楽譜
    ラデツキー行進曲・ピアノ連弾の楽譜
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「ラデツキー行進曲」は父1世の作品

   今や世界の多くの国でテレビ中継されるようになった、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、年頭を飾るクラシックの名門演奏会です。そのチケットの入手は大変困難、とされていますが、テレビ中継では、ウィーンフィルの音楽に合わせて異なる会場で踊られているバレエを同時に放送したりするので、テレビのプログラムとしてもたいへん楽しめます。

   このコンサートは、何といっても「ウィーン」ということにこだわっているので、19世紀に大流行した、シュトラウス一族のワルツやポルカが中心的な曲目です。そして、もっとも多く演奏されるのが「ワルツ王」と呼ばれるヨハン・シュトラウス2世の作品たちです。ウィーンにはハプスブルクの王の他にもう一人王がいる、シュトラウス2世だ、と言われたぐらい、当時の彼の活躍は目覚ましく、自作のワルツやポルカを演奏したり指揮したりする、いわば、スーパーアイドル、でした。本人があまりに忙しすぎたので、音楽とは別の仕事についていた弟たちを、無理やり、音楽の仕事に引き込んだぐらいでした。

   しかし、そんな、シュトラウス2世の作品が多く演奏される、ニューイヤーコンサートの定番曲の中で、ラデツキー行進曲だけは、彼の父・シュトラウス1世の作品です。この親子には確執がありました。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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