日本では年越しの雰囲気にマッチ
日本の戦後も事情は同じでした。まだ全国民の生活が苦しい時代、オーケストラも、懐事情は、今以上に厳しい、でも、歳末のボーナスぐらいは出したい...となると、少しでもお客様を呼べる演目を演奏しよう...そうだ、合唱の入る「第九」を演奏しよう!という背景があったようです。日本では特に「運命」や「英雄」や「皇帝」でも人気の高いベートーヴェンの最後の「合唱付き」交響曲ですから、「今年も終わりだ!」という歳末の雰囲気にもマッチし、かつ、合唱団関係者によって、お客は倍増...ということが繰り返され、今の「年末は第九」という雰囲気が出来上がった...これが真相のようです。
今や、「年末に第九」が定着しているので、私は、時期にかかわらず、第九を聴くだけで年の瀬の気分になってしまいます。
本田聖嗣