アメリカ西海岸発のパーティーカクテル「パンチボウル」の人気が、今年の夏から都内の飲食店を中心にジワリと広がっている。女子会などのテーブルを華やかに彩り、数人で共有していっしょに楽しめるドリンクだ。
日本でだんだんと浸透しつつある陰には、ビールメーカー営業担当者による飲食店への提案努力があった。
「味よし、見た目よし、盛り上がること間違いなし」
「パンチボウルは、大きなボウルにベースとなるお酒と氷を入れ、フルーツやハーブをトッピングしたものです。ひとつのボウルをみんなでシェアして、取り分けて飲んでいただきます。サングリアを入れるのが一番おすすめですが、アップルワインも女性に好評です。味よし、見た目よし、盛り上がること間違いなし、というのが魅力ですね」
アサヒビールの東京統括支社・新宿支店の大河原由美子さんはこう説明する。もともとはロサンゼルスなどのセレブリティーの間で流行に火が付いた。パンチボウルに関する内容を含むカクテル本「IMBIBE!」(デイビッド・ウォンドリッチ著)が、食のオスカーといわれるジェームズ・ピアード賞を受賞したことがきっかけだという。
これに注目した同社では夏ごろから飲食店へのメニュー提案として、本格的にパンチボウルの提案を開始した。現在は好評を得て洋風ダイニングやバルなどの形態の店で取り扱われ始めているが、飲食店に提案を始めた当初は困難に直面したこともあった。
「やみくもに提案していたときは苦労して、『大変だ』と思うこともありました。実際、1名や2名のお客様がメインのお店に提案してもなかなか受け入れていただけませんでした」(大河原さん)
ところが、3~4名で利用する女性客を呼び込むのに熱心な店舗や、サングリアを扱っている店舗では、おもしろい飲み方だと受け入れてもらえることがわかった。それから膨大な飲食店の中から、あらかじめ条件で絞り込む方針に変えた。「よく考えてみれば簡単なことでした。飲用シーンをしっかりイメージして、必要としているお店を選ぶことで、交渉もスムーズに進むようになりました」と大河原さんは笑顔を見せる。