器楽版・歌謡版とも大ヒット
第2次大戦中は、北欧言語に通じたインテリジェンスの専門家として、軍で活躍したため、陸軍に高位の将校として残るよう引き止められたりもしましたが、戦争終結とともに作曲家の道を選びます。
いまや、全世界でクリスマスシーズンに最も演奏されることの多い管弦楽曲、といわれている「そりすべり」は、戦後すぐに着想されています。作品が出来上がったのは1948年、そして、後に歌詞がつけられて、器楽版・歌謡版とも大ヒットを記録します。
ところで、この曲は、先週のヘンデルの「メサイア」と同じように、もともとクリスマスシーズンの曲として考えられていません。それどころか、アンダーソンが、この曲の構想を練っていたのは、「近代史の中の最も悲惨だった7つの猛暑」にも数えられている、1946年のコネチカット州でした。酷暑の中でも、北欧の魂をもったアンダーソンは、クリスマスを思い起こさせる名曲を作り上げたのです。
本田聖嗣