日本はよくも悪くもアメリカの文化に多大に影響されている、というのがヨーロッパに暮らしていた時に感じた感想です。日本からは「欧米」といって、欧州と米国をひとくくりにまとめて表現することも頻繁にありますが、政治・宗教・文化・言語・風習、そして街の風景も、ヨーロッパとアメリカでは、大きく違います。そして、欧州のほうがアメリカよりも、日本に近いと思うこともしばしば...。つまり日本の「欧米風」という概念は、実は多分に「アメリカ風」なのではないか、と感じることも少なくありません。
クリスマスもある意味、その典型でしょう。赤白衣装のサンタクロースが、大きなプレゼントを抱えてあらわれ、ディナーの食卓には、七面鳥ならぬアメリカ・ケンタッキー州発祥のフライドチキンがケーキとともに並んでいる...という構図は、それを象徴しています。もっともチキンは、日本の独自解釈で、欧米人には、「なぜファーストフードが!」とよく驚かれます。
そんな、アメリカ型クリスマス、の日本でも、よく耳にする曲が、今日の曲、ルロイ・アンダーソンの「そりすべり」です。
ルロイ・アンダーソン「そりすべり」
この曲の出だしの軽快な響きを聴いただけで、クリスマス気分が盛り上がります。オーケストラの中のブラスアンサンブル...金管の合奏が、華やかなクリスマスの風景にぴったりです。金管の活躍するオーケストラ作品は、アメリカのライト・クラシックと呼ばれる分野に多く、アメリカが発祥の遊園地などでも多く流れています。
作曲家ルロイ・アンダーソンは、ユーモアあふれ、華やかな、数々の名曲をつくりました。「ジャズ・ピッチカート」「トランペット吹きの子守歌」「トランペット吹きの休日」「踊る子猫」「シンコペイテッド・クロック」...現在も親しまれている名曲の数々を多くの方がご存知でしょう。