ウスターソースをかけただけの白ご飯、通称「ソーライス」。金欠の時に濃い味のご飯で空腹と食欲を満たす、いわゆる「貧乏メシ」のひとつだ。
そんな「ソーライス」が、なぜか今にわかに注目を浴びている。貧乏メシのはずが、特に金欠ではなさそうな人も続々と「やってみた」報告をしているのだ。
大阪・梅田の阪急百貨店大食堂が発祥
ソーライスの発祥は戦前の「昭和恐慌」の時代にまで遡る。
2013年10月28日付の産経新聞夕刊(関西版)に掲載されたコラムによると、1929年に開業した大阪・梅田の阪急百貨店の大食堂で、不況のあおりで5銭のライスだけ注文し、卓上のウスターソースをかけて食べる客が増えた。
商売上がったりだが、当時の阪急グループの総帥・小林一三氏は「ライスだけのお客さまを歓迎します」との張り紙を出させた。「確かに今は貧乏だ。しかし、やがて結婚して子供を産む。そのときここで楽しく食事したことを思い出し、家族を連れてまた来てくれるだろう」との思いからだ―という、ちょっと泣ける逸話がある。
マンガ「美味しんぼ」30巻(91年5月発売)で紹介されたことで、広く知られるようになった。