合唱のところで聴衆が起立する理由は...
ところで、現代の演奏会でも、メサイアの上演中、「ハレルヤ」の合唱のところで、聴衆も起立する、という習慣があります。これは、ロンドン上演に臨席したイギリス国王ジョージ2世――実は、彼はハノーヴァー生まれの、選帝公ゲオルク2世でもあるので、ヘンデルと同じ「ドイツから来たイギリス人」なのですが――が「ハレルヤ」コーラスのところで感激して立ち上がってしまい、他の観客もそれに倣って立ち上がった、というエピソードに由来するものです。
現在、この話は、ほぼ作り話、と言われていますが、思わず立ち上がりたくなるヘンデルの力強い名曲は、ベートーヴェンの「第九」と共に、クリスマスと「年の瀬シーズン」にふさわしい気分と高揚感をもたらしてくれます。
本田聖嗣