日本ではJAS法に基づき規格規定
なお、一点本書の誤謬を挙げれば、植物油のうちオリーブオイルのみが化学的精製過程を経ずに生産される「ジュース」であり、種油はおよそ石油系溶剤を利用せざるを得ないとするくだりだ。著者は胡麻油や菜種油を使ってきた東洋文化を知らないと分かるが、これはオリーブオイル贔屓が行き過ぎたご愛嬌としておこう。
日本においても、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づく「食用植物油脂の日本農林規格」において「オリーブ油」(非精製)の規格が定められており、これは海外のエキストラバージン規格をほぼ踏襲しているという(本書解説P394)。もし混ぜ物をするなどこの規格を満たさなければJAS法違反となる。先に国会で成立した「不当景品類及び不当表示防止法」の改正により、不正があれば売上の3%を課徴金とする制度が導入されたことも、一つの牽制となっていくはずだ。オリーブオイルの品質の問題は、日本でも徐々に報道され始めている。今後の国民生活センターや消費者庁の動きを注視していくべきだろう。