「乾杯の歌」は、どのワインと? ボジョレー・ヌーボーの秘密

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「昼間から飲む口実」として誕生?

   ところで、ワインに限らず、別のお酒の宣伝にも、使われた、ヴェルディの「乾杯の歌」を含むオペラ「椿姫」は、イタリアの作曲家の作品ですが、舞台は、フランス・パリとその郊外です。原作が、フランスの作家、アレクサンドル・デュマ・フィスだからなのです。このアレクサンドル・デュマ・フィスは、かの「三銃士」などを書いた大デュマこと、アレクサンドル・デュマの息子で、父親は、文筆で稼いだ莫大な財産を、派手に浪費して使い果たした、といわれていますから、息子は、そんな父の生活を見ていて、この物語を構想したのかもしれません。

   しかし、ヴェルディのオペラでは、主人公が「パリの夜の社交界の女王、通称『椿姫』」、というところから、イタリア当局に睨まれる可能性を考慮したのか、ストーリーは椿姫と相手の青年貴族の純愛物語風に、名前も原作とは少々変えて、なるべくスキャンダラスにならないように、配慮されています。それでも、イタリアの初演当時は、とんでもない内容、とされて、失敗だったと言われています。その後の成功を考えると、想像しにくいエピソードです。

   有名な「乾杯の歌」は、華やかな夜会のシーンである1幕に登場します。このとき、主人公達が飲んでいたワインは、一体何だったのか? と想像するのも楽しいです。

   ちなみに、ボジョレー・ヌーボーの解禁日、フランスでは、みな好き好きにお気に入りのワインを飲み、あまり、ボジョレー・ヌーボーだけを飲んでいる人は見かけません。どうやら、「昼間から飲む口実」に使われているのが、真相のようです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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