寒い北欧の凛々しい音楽 ジャン・シベリウス、「ヴァイオリン協奏曲」

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ヴァイオリニストには覚悟のいる大曲

   ドイツの留学の影響などで、シベリウスは、初期は、非常に力強く、構造のしっかりしたオーケストラ作品を書いてゆきます。特に、劇音楽や、交響詩といった、物語を内包する音楽で、祖国フィンランドの題材を、たくさん取り上げました。同時に、彼は20世紀に入ってすぐ、30代の後半で、このヴァイオリン協奏曲を書き上げます。実は、彼は若かりし頃、ヴァイオリニストを目指して、名門ウィーン・フィルのオーディションを受けたりしていたのです。一説によると、極度のあがり症のために、演奏家は断念した、といわれています。しかし、もともと修行した楽器のヴァイオリンのために、1曲だけですが、素晴らしい協奏曲を残したのです。技術的に難易度が高く、さらに、改訂されたとはいえ、30分かかる大曲で、ヴァイオリニストにとっては、覚悟のいる曲ですが、内容は、まさに北欧フィンランドの誇り、というべきシベリウスの音楽が詰まっています。

   1楽章の冒頭では、管弦楽のサウンドの上に、ソロ・ヴァイオリンがささやくように旋律を奏でますが、その部分を指して、シベリウスは、「極寒の澄みきった北の空を、悠然と飛ぶ鷲のように」と言い残しています。厳しい冬に負けない、北の民族の力強さと、北国の寒くも美しい風景が同時に味わえる、クラシックを代表する、ヴァイオリン協奏曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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