安倍政権の重要政策「地方創生」に向けた処方箋

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一般的な人々が素直に共感できる姿勢

   筆者は、企業再生等を手掛ける中で感じてきた「違和感」を元に、霞が関官僚との会話を通じて閃いた方向性を元に論理を展開しており、様々な客観的データを用いてそれを論証している。産業別・企業規模別の企業等数・従業員数、世界・国内における小売業界シェアといったデータは極めて説得的である。

   また、コンサルタント・企業再生専門家と聞くと、スプレッドシートで作った数字を最重要視する人種という印象を持つが、筆者は、「企業倒産時に個人の自己破産まで求めるのは酷」だとか、「Lの世界の人々にとっては、経済的な打算だけではなく、地域やそこに住む人々への愛情や使命感・誇りが必要」など、一般的な人々が素直に共感できる姿勢で本論を綴っている。政策の実現に当たっては、理屈・論理もさることながら「共感」は極めて重要な要素であり、こうした視点に立つ筆者の論旨は、非常に納得がしやすい。

   さらに、具体的に講ずべき政策手段に関して、既に関係省庁が着手している取組みを紹介し、それを後押しするような記述をしている。こうした「政策提言本」においては、霞が関の政策を否定することだけに力点を置いたものが少なからず見受けられるが、こうした手法は決して生産的ではない。筆者は、おそらくこれまで手掛けてきた企業再生と同様に、政策当局者の心理に訴え、やる気を引きそうとしていると思われ、(評者は、本書で提言する各種政策の実現性について、全く知見を有していないが、)霞が関がうまく乗って、長期的な地方創生・日本経済の再生に向けた道筋をつけることを期待したい。

経済官庁(国際担当)

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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