今年も、もう残すところ2か月強...になってきましたので、年末を意識した「今年の総括」という話題が、マスメディアで、ちらほらと見受けられるようになっています。そのような番組で、取り上げられることが多いのが、気象に関してのニュースです。異常気象、という表現は毎年見受けられるので、何が正常かは、定義が不可能に近いわけですが、我々の日々の実感として、2014年は、雨が多かったのではないでしょうか? 突発的な豪雨に、短い夏、衣替え以降に次々とやってくる大型台風...などで、各地の土砂災害なども深刻でした。
自然現象の雨がある程度必要なことはわかっていても、やっぱり晴れの日が良いな...という思いを込めて、今日取り上げるのは、プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の一番有名なアリア、「ある晴れた日に」です。
3年も待ったあとだけに...
日本を舞台にした「蝶々夫人」というオペラは、開国直後の明治時代の長崎が舞台です。来日したアメリカ海軍の軍人ピンカートンと契りを結んだわずか15歳の芸者であった蝶々さんが、夫となったピンカートンが実は祖国アメリカに「正式な夫人」がいるとも知らず、単身帰国した夫を健気に3年も待つ...というストーリーが展開してゆきます。周囲の人は、蝶々さんの悲劇的な状況を薄々気づいていたり、ピンカートンが既婚者だという実情を知っていたりするので、それとなく蝶々夫人に悟らせようとしますが、彼女はあくまで純粋に「夫」を信じ切っていて、「ある晴れた日に、港に船が入港し、彼はきっと私の元に帰ってくる...」と歌う、クライマックスのアリアが、「ある晴れた日に」なのです。
台風一過、のような、一点の曇りもない快晴のお天気は、特に気持ちの良いもので、もしかしたら、蝶々さんが想像した、「夫がアメリカから帰ってくる日」の天候はこんな様子だったか...と考えたくなります。