霞ヶ関官僚が読む本
科学技術イノベーションと産業政策 政府は何をしたらよいか

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様々な政策手段候補からの最適な選択 そのための政策企画者の役割

「研究開発活動に対する政策的介入としては、大別して4種類のものが考えられる。①特許制度・著作権などの知的財産権を保護するための各種の法制度、②国立大学・国立研究所・その他の機関を通じて政府自らが行う研究開発活動、③各種の研究開発に対する補助金・利子補給・税の減免制度などを中心とする、民間部門に対する助成・援助政策、④民間企業を糾合した研究開発組合の結成援助と、それに対する助成・援助政策がそれである」(第20章 P253)

   同書では、様々な政策手段とそれに係る課題とその解決方策を示している。例えば、補助金に伴うモラル・ハザードの問題の解消の方法については、「成果の如何にかかわらず支払われる定額補助金ではなく、何らかの基準から見て、成功したときには失敗したときより額が大きくなるような、いわば歩合制度を導入すべきである。また、開発に伴う不確実性が小さく成功することが確かなときには、成功しなければ補助金を払わないペナルティの制度を導入することも、モラル・ハザードを排除する上で有効であると思われる」(第20章 P257~258)としている。ここで、研究開発の成功、失敗を見極めることは一般的に難しい。しかしながら、取り組むべき研究開発の内容や課題を因数分解して、可能な限り具体的な基準や数値を設定することができれば、理論が教えるところの厚生が確保できる。まさに、そこに政策企画者としての知恵を出す必要、政策企画者としての役割がある。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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