霞ヶ関官僚が読む本
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学問の面白さ

   インタビューされた6人の学究は、いずれも世界最先端の研究に従事しておられる。インタビューから共通して感じられるのは、学問に対する純粋さや情熱だ。その熱に煽られ、全く知らない学問分野が面白そうに思えてくる時点で、評者も編者の術中にはまっている。

   天文学のダイナミックな展開を心躍る思いで読み、物性科学の方向性に、そういうものかと感心しつつその恩恵に感謝する。中国哲学の研究者が、統一的な大原理を希求することの危険性を指摘したくだりは、人間の純粋な知的欲求がナチスに悪用された歴史のアイロニーを濃縮している。

   とはいえ最先端の研究の話である。法学をかじっただけの評者には誤解や消化不良ばかりであったが、学究の人生の充実ぶりを夢想しつつ、大学の恩師の教えを振り返る縁となった。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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