困難、危機に立ち向かうリーダーはいつもいる
『復興の日本史 いかにして度重なる災害や危機を乗り越えてきたか』
『複合大噴火』が1783年の浅間山大噴火前後の時代にテーマを絞っているのに対し、『復興の日本史』(著・河合敦 祥伝社 648円)は、古代、中世、近世、近代、現代のいろいろな事例をもとに、副題にあるように「いかにして度重なる災害や危機を乗り越えてきたか」が学べる書。著者は現役の都立高教諭でテレビ『世界一受けたい授業』でもお馴染みの先生だ。
「天変地位続発からの救済を大仏建立に求めた聖武天皇」「衰退する京都を救った門倉了以の河川開削事業」「津波から村人を救った醤油王・濱口梧陵」「日本初の公害のために国家と闘った男・田中正造」......人物にスポットを当てながらそれぞれの危機管理を平易に解説してくれる。いつの時代にも、困難に立ち向かう、危機を乗り越えるリーダーがいたのだ。
今の時代のリーダーが果たして同書に掲載されるだけの資質があるのかどうか、あるいは今後、そういったヒーローが現れるのか、それは後世の歴史家が判断することだが、本書を読んで、日本人はたいしたものだと少しは自信がもて、元気になれるかもしれない。