週刊「日常は音楽と共に」...本田聖嗣
嵐とベートーヴェン

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心の中は常に「荒れ狂う嵐」状態だったか

   ともあれ、嵐を思わせるようなピアノの曲であることは間違いなく、中期のピアノ・ソナタの傑作となっています。彼はこの時期、作曲家としては順調に地歩を築いていたのですが、一方で、難聴に悩まされていました。結局、耳が聞こえないにもかかわらず、素晴らしい作品を残したことは、後世の我々は皆知っていますが、彼の心の中は、常に、「荒れ狂う嵐」状態だったのではないか、と想像すると、たとえ、シェイクスピアの作品や現実の嵐を彼が想定していなかったとしても、やっぱり、「テンペスト」という通称がしっくりくるような気がします。ベートーヴェンは、古典派、といわれる時代の作曲家ですが、彼のあとにつづく、ロマン派の時代のモチーフ、「疾風怒濤」を先取りしている、ともいえそうです。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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