「ワル」の生の声から学ぶ「先見性」
『ワルの生き方』
『ワルの生き方』(宝島社、著・夏原武、1188円)はヤクザ、闇金融業者、詐欺師など、ほんとうにワルな人間を取材して、彼らの語り口、一人称で、その手口や生き方を紹介した本である。
著者は漫画「『クロサギ』の原案者である夏原武氏。「ワルを描いた漫画、ドラマ、映画を100倍楽しむ!」というのがキャッチのようだが、実際「事実は小説よりも奇なり」、エンターテインメントとして楽しめるノンフィクション本。
騙しの手口や追い込みの手口が事細かに紹介されている。けれど、「だからこの本を読めば犯罪学習ができる、予防ができる、もう騙されない」などとはいいますまい。なぜなら「ワル」は日々、頭を使って次の手、その次の手を考えているわけだから......。しかしそれでも著者が、きっとサービスとして巻末につけてくれた今後増える詐欺予想(たとえばオリンピック詐欺、消費税詐欺、子役詐欺、マグロ詐欺など)は、犯罪のためでなく時代を掴む先見として、これだけでも読む価値は十分にある。