古今東西、昔から、優等生よりもちょっと問題児のほうがモテるって決まっている。
杓子定規のカタブツよりも危険な香りがするほうが人を惹きつける。人間の奥行があるというものだ(ま、ほんとうはそんな簡単に類型化できないけれども)。
「ちょいワルおやじ」などという言葉が流行ったことがあったが、今は「ちょい」だけでは物足りない? 本格的ワルでないと勝ち抜けない時代なのかもしれない?!
ちなみに、アメリカの経済誌「FORTUNE」が世界の犯罪組織を収益額でランキングしたものを先日発表。1位は日本の山口組だったそうだ。
今回は「ワルから学ぶ」をテーマに3冊をピックアップしよう。
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日本人はいい人、シンジラレナイ!
『悪人のススメ』
日本にやってきた外国人が驚くもののひとつが「無人販売所」。
値段を書いた野菜やお米が台の上に無造作に置かれていて、お気に召せばお金をおいて品物を持って行ってくださいというシステム。「お釣りを誤魔化したりネコババなんぞしないというお約束が成り立つなんて、なんと日本人はいい人、シンジラレナイ」というわけ。大災害時の混乱時でも略奪がおこらず整然と助け合う姿が世界から称賛された、これも日本人の美徳としてよく耳にする話。
「いいのだからいいのではないか」「いい人のどこが悪い」......、
いえいえそうばかりとは限らないのだと『悪人のススメ』(KADOKAWA、1296円)の著者の川北義則氏はいう。たとえば原発の汚染水問題。「世界に誇れる厳しい基準にしよう」という善意で基準が決められたが、結果、国際的には汚染水でも何でもないレベルの水が汚染水扱いになり、無駄な制御管理をやらされていると、著者はいう。
「日本人はいい人すぎる、これをやめよう」というのが本書の根幹、いい人がなぜ良くないのか、いい人をやめるとなぜいいかが7章にわたって解説されている。
『悪人のススメ』という扇情的なタイトルではあるが、犯罪をすすめたり、ことさら人を貶めることをすすめる本ではないのだ!