騎馬民族スキタイ人テーマに「不屈の魂」奏でる
今日取り上げるのは、彼の若かりし頃の作品、「スキタイ組曲」。もともとは、パリで活躍した、ロシア・バレエ団のために、書き下ろされた「アラとロリー」というバレエ音楽だったのですが、バレエ団のプロデューサー、セルゲイ・ディアギレフによって、上演を拒否されたので、少し題名を変えて、管弦楽組曲として完成した作品です。バレエを念頭に置いていただけあって、プロコフィエフの作品の中でも、特に野性的な曲になっています。この曲を聴けば、もりもり元気が湧きます。
ところで、題名の「スキタイ」とは、紀元前、現在の南ウクライナに勢力を誇っていた騎馬民族の名前です。実は、プロコフィエフ自身が、ウクライナ、それも現在ニュースになることの多い、ドネツク地区の出身です。そして、政治が藝術に激しく干渉した、ソビエトに翻弄された作曲家でもあります。世界が注目している、混沌とした南ウクライナの状況ですが、プロコフィエフの音楽を聴くと、ウクライナの「不屈の魂」が聴こえるような気がします。