週刊「日常は音楽と共に」...本田聖嗣
ウクライナの元気印

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騎馬民族スキタイ人テーマに「不屈の魂」奏でる

   今日取り上げるのは、彼の若かりし頃の作品、「スキタイ組曲」。もともとは、パリで活躍した、ロシア・バレエ団のために、書き下ろされた「アラとロリー」というバレエ音楽だったのですが、バレエ団のプロデューサー、セルゲイ・ディアギレフによって、上演を拒否されたので、少し題名を変えて、管弦楽組曲として完成した作品です。バレエを念頭に置いていただけあって、プロコフィエフの作品の中でも、特に野性的な曲になっています。この曲を聴けば、もりもり元気が湧きます。

   ところで、題名の「スキタイ」とは、紀元前、現在の南ウクライナに勢力を誇っていた騎馬民族の名前です。実は、プロコフィエフ自身が、ウクライナ、それも現在ニュースになることの多い、ドネツク地区の出身です。そして、政治が藝術に激しく干渉した、ソビエトに翻弄された作曲家でもあります。世界が注目している、混沌とした南ウクライナの状況ですが、プロコフィエフの音楽を聴くと、ウクライナの「不屈の魂」が聴こえるような気がします。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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