女王陛下に飲んでいただきたい
『日本ウイスキー世界一への道』
イギリスから遠く離れた極東アジア、日本という国で本格的なウイスキー造りに取り組んで、しかもウイスキー愛好家を増やしている。だからエリザベス女王から勲章をもらってもいいぐらいだ、そんなふうに竹鶴政孝自身がユーモアたっぷりに語ったことが『ウイスキーと私』のなかで紹介されている。
残念ながらマッサン自身は女王陛下から勲章をいただく機会はなかったのだが、彼の想いや技術を受け継いだ日本のウイスキーブレンダーが、世界のウイスキーの賞で最高賞を受賞するという栄誉に輝き、いまやジャパニーズウイスキーはスコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーなどと肩を並べて、「世界五大ウイスキー」の一つに数えられるほどになっている。たとえば味覚の評価が厳しいフランスでは、日本のウイスキーならではの繊細さが高く評価され、「フレンチとウイスキーのマリアージュ」なるイベントも開催されるほどなのだ。
集英社の『日本ウイスキー世界一への道』(著・嶋谷幸雄、輿水精一、Kindle版648円)は、世界を驚かせたウイスキーがどのようにして造られたか、至高の技術を紐解いた一冊である。