今や国民病ともいえる腰痛。パソコンを使ったデスクワークの時間が多い人にとっては、肩こりと並んで腰の痛みに悩まされることが少なくないだろう。
サッカー元日本代表の久保竜彦選手(現・廿日市FC所属)も、代表に選ばれながら腰痛が原因で思うようなプレーができず、引退すら考えた時期があった。だが、38歳の今でも現役を続行できているのは、当時出会った「足指トレーニング」のおかげだという。「足指をまげるだけで腰痛は治る!」(ぴあ、税別1200円)は、そのトレーニングメソッドを紹介している。
「もうサッカーを辞めようかな」から復活
本書は、久保選手に足指トレーニングを伝授したメディカルトレーナーの夏嶋隆氏が監修し、サッカージャーナリストの石井紘人氏が執筆した。写真や図を使って具体的なトレーニング方法を解説。また日常生活に潜む腰痛の原因を説明し、腰痛にならないための歩き方や寝方、パソコン使用時のマウスの持ち方、さらには靴の選び方まで紹介している。
久保選手のインタビューも掲載。Jリーグ、横浜F・マリノス所属時の2005年に腰痛を悪化させ、「神頼み」に近い思いで夏嶋氏のもとを訪れた。治療を受けて痛みは和らいだが、夏嶋氏はことあるごとに「腰痛の原因は足指が弱いからだ」と指摘したという。だが久保選手は助言をなかなか受け入れられず、2007年には腰痛が再発したうえ膝も痛めた。「障がい者になるかも」「もうサッカーを辞めようかな」とも覚悟したが、再度夏嶋氏をたずね、今度は徹底的に「足指トレーニング」に励んだそうだ。当時のつらさが語られているが、おかげで「痛みが消えた」という。
著者の石井氏自身も腰痛に悩まされ、現在足指トレーニングを実践中だ。取材に対して、「今までの健康本の概念を変える一冊になっています。立ち読みでも構わないので、『はじめに』だけでも読んでほしい」と話した。