霞ヶ関官僚が読む本
治らない病気と共にある日常を描く

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仲間とつながることが、大きな支え

   本書に登場する難病患者の多くが口にした言葉がある。

「なぜ私がこんな目に遭うんだ」
「なんで私。なんか悪いことしたろうか?」
「テレビの世界、ですよね。まさか自分に降りかかってくるなんて、思いもしませんでしたから」
「治らないのに、一体どう頑張るの?」

   何人も、「治らない病気」だと告知された時、病気のゆえに「仕事」や「家族」などを失った時、この理不尽な状況を受け入れるのは難しい。

   しかし、本書に登場する難病患者の多くは、こうした苛酷な状況を、時間をかけながら受け入れ、何とか立ち上っていく。そして、その契機にも不思議な共通点がある。

   同じ状況にある患者を知り、「自分だけではない」と確認したり、また、その人々が前を向いて歩んでいる様子に触発されて、自分ももう少しやってみようと思えるようになる。

「仲間がいると知ることで、きっと救われる。楽しく生きて楽しく過ごせる」
「実体験を聞くって大事です。治らない病気を抱えると、つい考え込んでしまうから」
「(仲間と交流する)この時だけは自分が病気であることを忘れられるんです」

   意外だったが、71人もの難病患者が登場する本書において、医師など専門家に対する感謝の言葉は見当たらず、むしろ、仲間同士の支え合いの方が、患者に生きる力を与えている。

   自身がALSの患者でありながら、難病相談支援センターで相談者として働く女性の言葉がとても印象に残った。

「その人にはなれん。そいばってん、分かろうとすることはできる」
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