秋が近づくと、何となく京都に行きたくなる。とりわけ今年の京都は見逃せない。京都国立博物館(京博)の新館がオープン、その記念の展覧会「京へのいざない」が半端じゃなくゴージャスなのだ。
キャッチフレーズは「ズラリ国宝、ずらり重文」。国宝50余点、重文110余点が惜しげもなく公開される。そして本館では4年がかりの大修理を終えた「鳥獣戯画」の特別展も開かれる。――そうだ、今年の秋は、京博に行こう!
公募で「平成知新館」とネーミング
京博は1897年に創設され、1966年には平常展示館ができた。今回の新館は、この平常展示館をリニューアルしたもの。設計は、ニューヨーク近代美術館新館などを手掛けた世界的な建築家谷口吉生氏。シンプルで近代的なデザインの中に和風を思わせる雰囲気を随所に取り入れている。
地上3階、地下1階。展示室は3フロアーにわたり、展示面積は3587平方メートル。新館の名前は素案をもとに公募され、多くの票を獲得した「平成知新館」に決まった。本館は「明治古都館」と呼ぶことになった。
オープン記念展「京へのいざない」は2014年9月13日から始まる。同館所蔵の国宝、重文や、京都の古刹などが所蔵する名品約400点が2期に分けて公開される。「天橋立図(雪舟筆)」、「松椿蒔絵手箱」、「古今和歌集巻第十二残巻」(いずれも国宝)など平安以降の「京文化」の精髄を、絵画、書跡、彫刻、工芸などのジャンルから選りすぐった、まさに名作・名品のオンパレードだ。古参の学芸員も「空前絶後。いままでに経験したことのないスケール」と驚嘆する。