8月の終わりごろからネットを賑わせている「桃モッツァレラ」。旬の白桃とモッツァレラチーズを合わせ、サラダ仕立てにした料理だが、これが「旨すぎて腰抜かすww」「旨すぎワロタww」などネットで大ブレイクした。
ここで「桃モッツァレラ」の「正しい」レシピを確認しておこう。
材料
・白桃(缶詰はNG)
・モッツァレラチーズ
・白ワインビネガー(バルサミコ酢などはNG)
・すりおろしたレモンの皮(レモン汁はNG)
・エキストラヴァージンオリーブオイル
・塩、黒胡椒
作り方
(1)桃の皮を剥き、乱切りにして皿に盛る
(2)モッツァレラチーズをちぎって散らす(ハナコさんもソースへの絡まりが良いので、「ちぎるのが大事」と言っていた)
(3)塩、黒胡椒をほどほどに振り
(4)白ワインビネガー、オリーブオイルをキャップ1/2くらい振る
(5)上からすりおろしたレモンの皮をかける
SNS上では毎日多くの人が自作「桃モッツァレラ」写真を投稿しているが、その中には間違った作り方をしている人も。「桃モッツァレラフィーバー」の立役者となった人気食ブロガー・ツレヅレハナコさんは8月21日のツイートで「(桃モッツァレラは)奇跡的な組み合わせ。だから(気持ちはわかるのだけれど)、まずは省いたり、材料を変えたり、増やしたりしないで、忠実に作ってみると良い」と注意している。
一方、「自分だけ?桃モッツァレラの凄さが分からない」というNAVERまとめ記事が人気を集めているように、そのフィーバーぶりに違和感を抱く人も少なくないようだ。
というわけで、今回はこのレシピを忠実に再現し、「桃モッツァレラって本当に美味いのか?」全力検証してみた。カス丸が持ち前の検証精神を発揮してくれた。
これが全材料
素材の質が全体の味にどう影響するのかを調べるため、今回モッツァレラチーズを2種類用意した。ちなみに白桃は福島県産だ。
税込一個150円ほど
まずはこちら。イタリア産のモッツァレラ・ブファラ。
水牛のミルクから作られており、強い風味とコクを感じられる。
旨いんだけど、高い。これだけで定食食べられちゃうくらい。
毎日菓子パンばかり食べているカス丸だが、ここぞとばかりに「奮発」した。
「一日の朝飯、昼飯代をチーズに継ぎこんだじぇい...」
税込600円ほど
それで作ってみたのがこちら。
適度な塩気が桃の甘味を強くしてくれる。素直に美味しい。
白桃自体、あまりクセのない果物なのでオリーブオイルやレモンともよく馴染んでくれる。
これはワインのアテにいいかも。
続いてはこちら。ふつうのスーパーにも売られているクラフトのモッツァレラチーズだ。
こちらはモッツァレラ・バッカといい、牛乳から作られている。
値段もブファラの1/2ほどと手ごろな値段で手に入る。
税込300円ほど
見た目では全く分からないものの、味の方で露骨に差が出る。
クラフトのモッツァレラは味が薄く、桃の風味に負けてしまう。
水牛のモッツァレラを食べた後だと、余計に薄さを感じる。
ビネガーとレモンと塩だけじゃ、クオリティの差は乗り越えられないようだ。
貧乏舌のカス丸でさえ「美味しくなくなったじぇい。チーズのクオリティの差きゃすなぁ」とグルメライター気取りで話せるほど、違った。
「これだけじゃ面白くないじぇい」とカス丸は近所の業務用スーパーに白桃缶を買いに走る。
チーズだけでなく、桃も変えてみる。
今度は「白桃缶」を使った「桃モッツァレラ」にチャレンジだ。
こちらは中国産。なおかつコンポート(シロップ煮)にしてある。
税込120円ほど
桃缶+水牛のモッツァレラ。
見た目も随分「地味」になったが、口にしてビックリ。マズい。
桃の風味が弱く、一体何を食べているのか分からなくなってしまった。
「シズル感」が全然出ていないのが、お分かり頂けるだろうか。
すっかり舌の肥えたカス丸「マズすぎワロタじぇいwww」と驚いている。
桃缶+クラフトのモッツァレラ。
「桃モッツァレラ」を食べすぎて徐々に嫌気がさしてきた。そのためか盛り付けもやや雑になってしまっている。
モッツァレラのクリティを下げた分、さらに美味しくなくなった。
ハナコさんの言う通り、レシピを勝手にアレンジしてはいけないようだ。
【「桃モッツァレラ」を食べて分かったこと】
(1)素材の質が味を決める
技術うんぬんというよりとにかく素材の質。桃も、モッツァレラチーズもオリーブオイルも良いものを使えば、より美味しくなる。逆に言えば、安物を使うと美味しくない。
(2)シンプルな料理なのでアレンジしない方がよさそう
余計なアレンジは全体のバランスを崩してしまう。
【総合評価】
酒のアテにしてはコスパ悪すぎ。材料費だけで一皿最低500円近くしてしまう。もっと安くて美味しい酒のアテはあるんじゃないかい。
仕事帰り、豆腐や売れ残り半額惣菜でチビチビ酒を飲むサラリーマンにはオススメできない。
「白ワインビネガーってなにそれ美味しいの?」という人もあまり手を出さない方が良さそうだ。
カス丸も「これだったらオリジン弁当行っちゃうじぇい」とあまり満足できなかったようだ。
ちなみにこのレシピ、料理研究家の内田真美さんが7年前に著書「洋風料理 私のルール」(アノニマスタジオ 2007年)で披露していたもの。「桃の冷製スパゲティ」を食べた経験のある人ならお分かりだろうが、桃がデザート以外の用途で使われることは決して珍しくない。
では、新しくもなんともないレシピがなぜ急にブレイクしたのか。
ハナコさんがブログで紹介→SNSで一部の人が話題にする→NAVERまとめなどが「まとめ記事」として出す→拡散
という極めてネット的な過程をたどり、「フィーバー」が起こっていたのだ!