【霞ヶ関官僚が読む本】
夏になると読み返したくなる昭和史の名著

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「開戦と終戦」の緊張度の高い叙述に息を飲む

   どの章もお勧めだが、特に、第3章の「開戦と終戦」の緊張度の高い叙述には、息を飲む。冒頭の「天皇は、戦争を回避したかったにちがいない。そのために努力した。しかし、平和主義者だったであろうか。絶対的平和主義は、思想家か宗教家の信条である。帝国主義政治家は、平和を欲するとしても、同時に国益を守らねばならない。だから、戦争準備をおこたらない。しかも、国益拡大のために、自衛とか正義とかの口実を設けて、戦争をしかける機会をねらう。それらの機微は、ほとんど識別しがたい。それが帝国主義的平和主義である。」としているのは、きわめて政治学者らしい考察だ。天皇がなんとか抗戦派を押さえ込み、終戦に持ち込んだ経緯をよどみなく叙述し、「敗戦の最大の成果は、軍隊の全廃であった。天皇も軍国主義にコリゴリしたということである。」という。

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