シンガポールの国立美術館の照明も担当
――曄道社長はもともと照明畑の出身ではありませんね。
「学生時代から職業経営者になりたいと考えていました。銀行勤務で財務や経営について学びながら、常に『世の中が素敵になる仕事』を探していました。その中で、大手電器メーカーと単純に価格面や技術力で勝負するだけではないこの会社に魅力を感じました」
――社長に就任してから積極的に海外進出しています。
「学生時代に留学をしていたので海外や英語への抵抗はありませんでした。ですから物を売りに行くというよりも、『照明は明るいだけじゃない。情感を持って来よう、そうすれば照明の数は減らせる』など照明のあり方についてさまざまに議論しに行ったんです。それが海外のカルチャーにフィットして、『面白いからやってみて』という話になりました。
2008年ごろから積極的に議論をしに打って出て、アジアやアメリカに進出。今年の夏にはヨーロッパに支社を構えます。一昨年に現地法人を設立したシンガポールでは、国立美術館に照明を納入させていただていています」
――進出には困難も多いのでは。
「私自身、大儲けが目的ではないんです。海外の成功者みたいに、余生はバハマでのんびり暮らすとかね。世の中がもっとよくなった方がいいよね、という考えでいつも仕事をしています。その中で、日本の会社として仕事をすることで貢献していきたい」
――日本の会社としての仕事とはどんなことですか。
「まず丁寧であること。そして、話を聞く技術を大切にすることです。ハードウェアだけで勝負するのではなく、ソフトウェアを組み合わせることによってお客さまのニーズに対して最適なソリューションを提供する。これこそがメイドインジャパンの仕事だと考えています」
『情感を呼び起こす』モデュレックスの照明が採用されているのは、大型商業施設やレストラン、ホテルだけではない。学校や病院、オフィスなどにも広がり、そこで過ごす人たちにとって欠かせない空間を演出している。国内外で評価を高める仕事ぶりは、今後さまざまな場面で注目を集めていきそうだ。