霞ヶ関官僚が読む本
他人事ではないスノーデン告発 止められぬネット依存の一方で考えるべきこと

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利便性享受と引き替えにプライバシー切り売り

   多くの人々にとって、インターネットの無い世の中はもはや想像できないのではないか。フリーメールでやりとりし、検索エンジンを駆使してネットをブラウズし、SNSで情報を発信することは生活様式の一部である。スノーデンの告発があろうとも、このネットへの依存の流れが止まることはないであろう。ただし、その過程で、誰がいつ誰と通信を行い、どのようなサイトを閲覧し、いつどこで何をしたかといったパーソナル情報がますますどこかに蓄積されることになる。「タダより高いものはない」とはよく言ったものだが、利便性を享受することと引き替えに、プライバシーを切り売りしていることをどれだけの人が意識しているであろうか。悪いことをしなければ監視されても関係無いと考える人も多いかもしれないが、「悪いこと」とは時の権力にとって好ましくないことであり、権力側の都合によって変わり得るものだと著者は警鐘を鳴らす。

   通信の秘密が憲法上明記されている我が国とは状況を簡単に比較できないと思われるが、折しも我が国においては、パーソナル情報の取り扱いを巡って個人情報保護法の改正に向けた検討が進められている。ここでは、米国のような"テロ対策"対"プライバシー"という構図ではなく、"ビジネス"対"プライバシー"という文脈での議論となるが、利便性とプライバシーのバランスにおいて、我が国としてどこに最適点を見いだすこととするのか、興味深いところである。

某省(室長級)錨

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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