寅さんがやってる それ以外はよく知らない謎のお仕事
テキヤはどこからやってくるのか? 露店商いの近現代を辿る
『男はつらいよ』は、渥美が少年時代に見たテキヤの話を山田洋次監督にしたのがきっかけで生まれたそうだ。テキヤは、祭りの空間に焼け焦げたソースの匂いや発電機の轟音を運んでくるおなじみの存在だが、どこに住んでいて、祭りのない日は何をしているのか、考えてみると謎の多い人々である。光文社から出ている『テキヤはどこからやってくるのか? 露店商いの近現代を辿る』(著・厚香苗、821円)は、今まで明かされてこなかったテキヤの実態について記録した一冊。世襲制かと思いきや、血縁のない親分子分関係で成り立つ。同業者にしか通じない専門用語が口頭伝承されてきた。気になるヤクザとの関係は? こうした事実に、寅さんの人物像を重ね合わせると、映画がさらに面白く、また夏祭りの見方も変わるだろう。