【書評ウォッチ】精巧な特撮技術プラス人間ドラマ ゴジラの原点は日本人の感性

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経済日本への警告だったとすれば

   日本版ゴジラのすぐれた点は、特撮以外の人間ドラマにあるとも評価されてきた。これを求め続けたのが、特撮の円谷監督とコンビを組んだ本多猪四郎監督だった。父と娘世代間のズレや、破壊兵器の使用に悩む科学者の姿に、日本映画人の感性がにじむ。

   ゴジラ、ラドン、キングギドラなどの怪獣たちを経済繁栄に走り始めた昭和日本への警告だったとすれば、その後の公害や原発事故をどう考えたらよいのだろう。

   「その後の怪獣特撮映画は、ゴジラのなかに眠っている要素を拡張したり、ときには反発しながら作られてきた。そういう意味で原点なのである」と、毎日新聞の評者・小野俊太郎さん。初期のシナリオを収めた『ゴジラ』(香山滋著、ちくま文庫)は品切れという。では、普通の人がどうすれば読めるかまで書かなければおかしい。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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