「それは義務か」と怒る中国人
野口さんが書いた『世界遺産にされて富士山は泣いている』は、登録だけを目的に準備が進められてきたことの問題点を浮き彫りにする。今夏は任意で一人500円の入山料を試験徴収する試みなども実施されるが、問題解決にはほど遠い。
今では「それは義務か?」と開き直って怒る中国人もいるらしい。「登山客の激増で環境汚染はさらに進む」と、野口さんは警告する。ユネスコの「条件」は2016年がクリアの期限。達成度次第では「危機遺産」に登録切り換えもあり得る。
美しい富士山をめぐる実情は複雑だ。無署名の小さな書評が朝日新聞の新書欄に。
本格的な保護対策を早くやらないと。「世界危機遺産の富士山」なんて、切実すぎて冗談にもならない。
(ジャーナリスト 高橋俊一)