霞ヶ関官僚が読む本
医療ビッグデータの持つ潜在力、どう活かすか

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「マイナンバー」の導入が鍵

   日本で決定的に立ち遅れているのが、個人識別番号(マイナンバー)の医療目的での利用だという。先進国では多少の差はあるものの、基本的に、様々な医療情報や健康情報が本人の基本データと結び付けられ、本人の医療受診の便宜のほか、研究や政策評価の目的でビッグデータとして活用されている。

   日本でも、既に個々人の医療内容に関する巨大データベース(例:保険請求に関するDPCデータ)が存在しているが、あくまでも病院単位の記録にとどまっているため、転院したような場合や介護保険のサービス利用の状況をフォローすることはできない。マイナンバーを活用できれば、患者ごとに受けた医療や介護サービスを一貫して追うことができ、予後を含めて把握することが可能となる。

「現在、データベースにならずに、世の中には実はさまざまなデータが活用されないまま捨て置かれている。言ってみれば宝の山がぶつ切り状態で、あちらこちらに放置されているようなものだ。ところがマイナンバー制が導入されると、各データベースにマイナンバーで横串を刺して突合することで数々の知見が得られるはずだ」

   個人情報の保護に配慮しつつも、急ぎ、医療分野でのマイナンバーの活用を検討すべきであろう。日本の医療を大きく変える潜在力を持つビッグデータを活かさない手はない。

厚生労働省(課長級)JOJO

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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