「閉じこもるインターネット グーグル・パーソナライズ・民主主義」(イーライ・パリサー著、井口耕二訳 早川書房)
我が国においてインターネットの人口普及率は約8割であり、インターネットに常時接続して利用されるスマートフォンの携帯電話契約数中に占める割合は5割を超えている。インターネットは、今や国民の日常生活や企業の経済活動に浸透し、不可欠な社会基盤となっている。インターネットには膨大な情報が溢れており、限られた時間の中で必要な情報を見つけるために、検索エンジンを使うことは極めて一般的である。またSNSで友人が紹介するサイトを参考にする人も多いかもしれない。
パーソナライズされたインターネット
グーグルの検索結果は、辞書を引いた時のように誰が引いても同じページランクアルゴリズムによるものではなく、「あなたにぴったりだとグーグルのアルゴリズムが推測したもの」であり、各個人の興味関心に合わせて編集され、他の人とは全く違う結果となる可能性があると本書は指摘する。また、フェースブックなどのSNSのウォールに表示される記事も、友人の投稿全てが表示されるわけではなく、我々の興味関心に合わせて編集されている。
興味関心や特性に合わせて「パーソナライズ」されたインターネットは、確かに便利な側面がある。一方、精緻化された「パーソナライズ」によるデメリットがあることを本書は指摘しており、「フィルター」のバブル(泡)の中に各個人がいつのまにか別々に閉じ込められていくことを「閉じこもるインターネット(フィルターバブル)」という言葉で呼んでいる。