毎年7月にパリで行われる、ヨーロッパ最大級の日本に関するイベント、ジャパンエキスポ。日本のサブカルチャー好きの若者が始めた3000人ほどの集まりが、入場者20万人規模の大イベントへと成長し、15周年を迎えた今年、2014年は開催日が1日増え5日間となり、7月2日から5日まで開かれた。
日本のコンテンツやソフトなど、最新テクノロジーお披露目も
ジャパンエキスポといえば、マンガ、アニメ、ゲームの主人公に扮したコスプレイヤーたちが集まり、コンテストや写真撮影会が行われることで有名だ。コスプレイヤーが闊歩する会場には、展示・販売ブースやイベントコーナーが設けられているが、今年、注目を集めていたのが、入口近くにあった日本の最先端コンテンツ技術の展示とデモンストレーションを行うJAPAN TECHNO SHOWCASE。一般財団法人デジタルコンテンツ協会が主催し、3つの大学研究室とコンテンツやソフトの制作会社など8つの企業が出展したこのブースでは、若い来場者が、ヴァーチャルゲームやイラスト制作ソフトなどに興じていた。
「フランス人の若者は物おじせず、どんどんトライする」、「みんな体験をするために列を作って待っている。これほど盛況になるとは思いませんでした」と出展者の手応えもまずまず。
デジタルコンテンツ協会は、ジャパンエキスポの主催企業SEFAとパートナー契約を結び、数年前から関わってきたが、出展は今年が初めてだという。同協会常務理事加藤俊彦氏は、「コスプレ姿ではない普通の若者の来場者も、年々増えています。日本企業にはジャパンエキスポをマーケティングや宣伝に活用してもらいたい。また、フランスのコンテンツは表現力に関しては素晴らしいものを持っているので、フランス企業と商談するなど、日仏テクノロジー交流の場に発展すればいいですね」
高田賢三氏が立ち上げ、フクシマ復興支援の非営利団体も参加
また、ジャパンエキスポには、文化、アート交流などを目的とした団体の参加も少なくない。ファッションデザイナー高田賢三氏が、震災復興支援のためにフランスで立ち上げた非営利団体、おきあがりこぼしプロジェクトもその一つだ。漫画家ちばてつや氏の呼びかけで、日本の漫画家たちが絵付けした、福島県会津地方の民芸品おきあがりこぼし60体が展示され、絵付けのワークショップも行われた。同団体の渡辺実さんは、「日本が好きでも社会問題には関心がなさそうな若い世代にフクシマのことを知ってもらおうと出展したのですが、16、17歳くらいの若者たちが、フクシマのことを気にかけて『現状はどうなっているのか知りたい』と言ったり、ワークショップにも熱心に参加してくれました。政治的メッセージ抜きで、フクシマに目を向け、忘れないようにしてもらう、いい機会になったと思います」
去年あたりがピークで、過渡期を迎えたといわれているジャパンエキスポだが、今後はコスプレとオタクの祭典からの脱皮を図り、もっと広く日本を知ってもらうためのイベントへの発展が期待される。