海外の路上で日本製を偽る商品が販売されるニュースを見ると、残念に思う反面、日本のモノづくりが一流ブランドの地位を築いていることを実感する。いつから「メイド・イン・ジャパン」は世界から信頼されるようになったのか。
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信頼を築け! 国家の一大プロジェクト
『富岡製糸場と絹産業遺産群』
日本が世界へ扉を開いた幕末・明治期、主要輸出品はシルクだった。輸出量が増えると、イギリスをはじめ外国商人からのクレームも増えた。メイド・イン・ジャパンは、粗悪品の代名詞になりつつあったのだ。危機感を覚えた明治政府が生糸業者に模範を示そうと建設したのが、世界遺産に登録されたあの富岡製糸場だ。フランスから一流の技師を迎え、最新鋭の機械設備を整えた、世界一の規模を誇る工場。高品質なシルクの大量生産を可能にした意義は深い。ベストセラーズの『富岡製糸場と絹産業遺産群』(著・今井幹夫、1008円)は、その歴史や見どころを写真や絵画を盛り込みながら紹介している。明治の製糸工場といえば、安い賃金で過酷な労働を強いるイメージが強いが、少なくとも官営時代は、最新のワークスタイルを導入した超一流企業といった様相だ。ここで働いた女性たちの暮らしぶりや周辺の町並みなども紹介している。