「高橋是清」が発する現役官僚へのエール
本年1月まで内閣府事務次官であった松元崇氏も、現役官僚時に、「恐慌に立ち向かった男 高橋是清」(中公文庫 2012年、単行本「大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清」(中央公論新社 2009年)を大幅改訂し文庫化)、「山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革」(日本経済新聞出版社 2011年)、「『持たざる国』への道―『あの戦争』と大日本帝国の破綻」(中公文庫 2013年、単行本「高橋是清暗殺後の日本―『持たざる国』への道」(大蔵財務協会 2010年)を大幅改定し文庫化)を出している。「高橋是清」の「はじめに」で、「財政的な負け戦が社会不安を醸成すること」を強く認識させられる。また、高橋是清の生涯から「どんな困難に遭遇しようとも、決して希望を失うことなく臨機応変に事態に対処していく姿には強く勇気づけられる」というのは、絶望的に巨額な公的債務を抱える、自らも含めた日本の現役官僚へのエールだと思う。