【BOOKウオッチ】
ペット、家族、自己犠牲… 大人が涙を流すスイッチとは

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妻の死が家族のきずなを取り戻す

その時までサヨナラ
その時までサヨナラ

『その時までサヨナラ』

   これまでホラー小説を多く手がけてきた著者が、初の純愛作品に挑戦。結果、テレビでドラマ化されるほど話題となったのが、文芸社の『その時までサヨナラ』(著・山田悠介、648円)である。純愛と聞くと、せつない青春物語を想像するが、仲が冷え切った夫婦に、愛人が登場する、ほろ苦い大人の世界が舞台だ。仕事に没頭する主人公は、突然、別居中の妻子が事故に遭遇したという知らせを受け取った。母を亡くした4歳の息子。引き取ってもまったく自分に懐こうとしない。男手一つの子育てへ限界を感じ始めたころ、妻の親友だと名乗る1人の女性が現れる。壊れてしまった家族のきずなが、妻の死という完全な崩壊によって修復される。現実にはありえないファンタジックな展開が待ち受けているが、あきれるほど自分中心だった主人公の成長が見えてくる終盤には、ある種の爽快感も味わえる。

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