試作は100種類以上に
こうしてようやく日本にやってきた花を製品に仕上げるまでにも、加工業者が見つからなかったり試作を繰り返したりと紆余曲折があった。
「試作は13回から14回やって、そのたびに9種類くらい用意してもらっていたので、軽く100種類以上はつくってもらったことになりますね」(図子さん)
「繊細な味を目指していたので、バランスが重要なんです。お花なので少し青くさくなりがちなのをほんの少し果汁を足して和らげてみたり、レモンピールエキスでさわやかな酸味をたしてみたり……。ただ、とくに工場で大量につくるとなると、水に近く、原料が天然物ということで香味のぶれもあり、コントロールが難しかったです」(屋さん)
東京・中野にある本社のマーケティングチームと横浜・生麦にある研究所の間でやりとりをするため、開発は終盤になるにつれて「体力勝負」になっていった。
「私たち(マーケティング)は感覚でものをいいがちなんですが、屋は現実を見て、できるできないを教えてくれるんです。それを知った上で、『でも、もう少し何とかならない?』と無理をお願いしているのに、送ってもらって電話でお願いするという形はどうかと思ったので、直接顔を合わせて話そうと、とにかく何かあれば足を運ぶようにしていました。早起きして、まず研究所に行って話をして、それから(本社へ戻って)リーダーに話をして……という生活でした。自宅から生麦まで2時間くらいかかるんですが(笑)」(図子さん)