優秀な人材をいつかせるには?
「安い労賃でもうけよう」と海外に出るメーカーを相手に立地条件で競っても、中国や東南アジアと勝負にならない。しかし、優秀な人材は快適な環境にいつく。だだっ広い工業団地よりも住む魅力にあふれた都市環境が新しい産業を呼ぶ。そこに新時代の地域振興策が見えてくる。これなら日本国内でも十分にやれる。朝日新聞の評者は森健さん。
政府が「残業手当ゼロ」の構想を打ち出したのに反応してか、『雇用改革の真実』(大内伸哉著、日経プレミアシリーズ)や『労働時間の経済分析』(山本勲、黒田祥子著、日本経済新聞出版社)が日経新聞に。それも、わざわざ別々の欄・コーナーで。
労働制度を変えるかどうかの議論が始まると、「表面的な議論を超えて」「科学的な分析を」といった本やリポートが必ず出る。もっともらしい用語や解説で論じるのだが、実は企業論理のお先棒かつぎが珍しくない。非正規雇用の導入時を考えればわかる。今度はどうか、しっかり見きわめないといけない。
(ジャーナリスト 高橋俊一)